「グンゼスポーツ eランニング通信」第7号は、フルマラソンのスタートラ
インからゴールを切るまでのペース配分、突然のトラブル対処法、またゴール後のケアの方法です。
以前の第5号では、レース1か月前〜当日スタート直前までの調整法をご説明しました。今回はその続きです。
フルマラソンというスポーツは、3時間、4時間・・・長ければ7時間をもカラダを動かし続けます。ですのでこの長い時間の間にいろいろな事が起こります。想定内の事も、想定外の事も。“賢明な”ランナーは想定外の事も想定内にするための事前準備をしっかりします。また想定外の事が起きたときもその対処法を事前に知っておくことも賢くゴールするために重要なポイントです。
【レース当日の準備最終確認】
レース中の大きな不快感になる、股ズレ、脇ズレ、乳首スレ。ワセリンや専用オイルで保護することを忘れずに。バンドエイドも携帯しましょう。
レース中のエネルギー切れ対策としては、エイドステーションで軽食をつまんだり、お金があればコンビニで何でも買えますが、小型のチューブ状の糖質ゼリーの(「エネルギー ゼリー 携帯」でネット検索)を数個ウエストバックに入れておけば急な空腹感にも対応でき安心感も高まります。
【スタート〜5km】
1万人を超えるレースでは大混雑が暫く続きますが、左右に蛇行して前のランナーを抜かすことに余分なエネルギーを使わないようにしましょう。5分のロスを無理して取り返すと後半にその数倍〜十倍のしっぺ返し(ペースダウン)が待っていますよ。
【5km〜中間点】
フォームのきれいなランナーを周りで探しましょう。上下動が少なく、肩が左右に揺れていないランナーです。淡々と一定ペースで走る落ち着いた、そんなランナーの斜め後ろ1mぐらいがベストポジションです。真後ろでは足が当ることもあるし、近づき過ぎはマナー違反です。
ただ自分とペースが合わなくなったら無理して併走せずに、次のランナーを探しましょう。私の場合はレース中、5軒いや5人程度のランナーをハシゴしていきます。
お友達や知らないランナーと話しながら走っている光景を時々目にします。レース以外の話題でおしゃべりしないようにしましょう。ついついペースが上がったり、キロ表示ポイントでラップタイムの確認を忘れてしまいます。レースに集中し無用なエネルギーを使わないようにしましょう。
給水所が近づいたら、急にコースの端に寄らずコースの真ん中をそのまま走ります。
給水は一番手前のところは必ず混みます。10m以上過ぎてから後方を確認しつつ給水テーブルに近づいていきましょう。
上り坂では頑張らない。ペースを維持するのではなく、走っているときの感覚(心拍数)を維持します。よって “上りではスピードダウンする”のが賢い走り方です。
前半ハーフまでは絶対!絶対!!抑えること。楽しい、楽であるという感覚で。決して息が弾むペースまで上げないことです。
【30km以降】
30kmを過ぎると、太ももの裏、ふくらはぎが「つる」ことがあります。つりそうと感じたら、脚の違和感がなくなる程度まで速度をぐっと落としましょう。一旦脚がつってしまうと立ち止まらないといけなくなり、ストレッチしてもすぐにつりは解消
しませんのでロスはかなりでてしまいます。さらに立ち止まってストレッチング姿勢をとることで、つっていない方の脚や他の部位がつってくることもあります。また、給水所で脚のだるさを感じ立ち止まって膝の完全屈伸などをしたくなりますが、ランニング動作とは違った動きをはしないこと。それによって筋肉のバランスが崩れ、つってしまうこともあります。
30kmを過ぎると、どんなランナーでも脚の疲労感を感じます。ずっしり重くなりバネがなくなっていきます。が、そこからが頑張りどころということで、腕、脚を大きく動かさないこと。ストライドが狭くなることは避けられないことですので、小さなストライドでも脚のピッチを落とさず、今までのリズムを維持することの方がペースダウンをくいとめられます。
【ゴール直前】
いよいよゴールゲートが見えてきて歓喜のフィニッシュへ。この最後の最後でとても重要な事があります。ゴールでは自分のストップウォッチに目を落とさずに視線は空へ、バンザイすることです。ゴールラインの前後10mはずっとバンザイです。最高の笑顔でフィニッシュ写真の見栄えを良くしましょう。プロのカメラマンはもちろん、ご家族ご友人も意識しましょう。ずっと残るゴールシーンですからね。時計を止めるのは10秒経ってからでも遅くありません。
【ゴール後】
預けていた荷物を受け取り着替えたら、乾杯!(私はこのために走っていますが・・(笑))。いやいやその前に脚の痛みや熱感がある場所を冷やしましょう。大阪マラソンではゴール後、冷水と温水の足湯があったようですが、レース後は温でなく「冷」です。また痛みがある部位は無理してストレッチしないこと。
【次の日】
筋肉の中は見えないですが、フルマソン後は筋肉を構成する筋繊維に微細ですが相当な損傷が生じています。これが筋肉痛です。次の日、決して走って筋肉を解そうとし
ないことです。損傷した筋肉には安静が必要です。
【3日後〜10日後内】
気持ちよく汗を少しかく程度の運動量に抑えましょう。ジムで自転車を軽く漕ぐかランニングマシンで超ゆっくり走るぐらいで。室内ならもし痛みや違和感がでてもすぐに運動を中止できます。マラソンの翌日は問題がなかっても、次の週痛みがでたり強い疲労を感じることも多々あります。
ゴールしたこの感動の余韻が冷めないうちに、次のレースにエントリーしましょう。
マラソンは一回限りのスポーツでなく、経験を重ね賢いランニング法を身につければ、ますます楽しくなる素晴らしいスポーツですので・・・・