小林玲子ブログからのお知らせ

eランニング通信

グンゼSP eランニング通信 第6号

「グンゼスポーツ eランニング通信」第6号は、ジムのトレッドミル(ランニングマシン)での練習法です。
屋内(トレッドミル)の走りと屋外でのランニングは違うという感想やご質問をよく受けます。
屋内ではそうでもないけど外で走る時は脚の筋肉が疲れやすい。いやいや屋内の方がベルトに脚を合わせないといけないのでしんどい。屋内は周りが動かないので速く感じる。
トレッドミルは蹴らなくてもいので脚の持久力はつかないの? 屋内では屋外よりカロリー消費が少ないの? トレッドミルで走りこむと上へ跳ぶ走りになってしまうの? トレッドミルでは傾斜をつけると外の走りに近くなるの? ・ などなど
皆さんさまざまですが屋内と屋外の走りの違いを感じておられ、また雑誌などを読まれ疑問も湧いて来るようです。
で、実は私はトレッドミルでの走歴25年でその構造やプログラムにも精通しています。自称日本一の「トレッドミルランナー」なんです。
物理学の世界で言うと、自分が動こうと、ベルト(地面)が動こうと、エネルギー消費量、走り方の違いは殆どありません。しかし、周りが動かない・圧迫感を感じる環境ゆえに、あるいはトレッドミルに慣れていないと、心理面としての感じ方の違いがあるようです。また身体的に疲れる、疲れないというのは、トレッドミルの動くベルトに対して脚を乗せてうまく回せているか、地面に対してブレーキのかけ方がランナーによって上手さの違いがあり、それによって、屋外より楽にとか、屋外より辛く感じる、という違いがでてくるようです。
さて、スポーツクラブのランナーにとってはぜひ理解しておいて欲しいことですが、屋外と比べてトレッドミルの利点として次の点があげられます。
・ スピードが一定しているので、自分の適切な速度で練習できれば、走力の向上が早い。
・ スピードを簡単に手元でコントロールできるので、ペースの上げ下げが簡単。楽な速度、ちょうどいい速度、ややきつい速度の練習が意図的に行える。
・ ピッチとストライドの関係(eランニング通信第3号に記載しています)を調整し、自分の力で効率的なフォームに改善できる。
・ 傾斜をつけると、速度を上げずに運動強度が上がるので、脚や腰に過度な衝撃や負担をかけずに、心肺機能を高めることができる。
・ 路面のデコボコ、車など周辺環境を気にすることがないので、フォームの改善など自分の走りに集中できる。
・ いつでも止められるので、体力に自信がない、脚の調子などに不安がある場合は無理を防げる
・ 暑さ、寒さの影響が少ないので快適。
逆に、屋内のトレッドミルのマイナスについて、・・・これは私見になりますが次の点が考えられます。
・精神的に辛い、時間が経つのが遅く感じる。
・自分でペースをコンロールする能力が養成されにくい。
・ 傾斜をつけすぎて(3%以上)走っていると腰が引け、太ももの前の筋肉を過度に使うフォームが身についてしまう。
ということを理解頂いたうえで、フルマラソンを目指す基本練習法を屋内と屋外に分けてレベル別に説明します。以下の練習がすべてでななく、今の練習の一部をこれに変えるとか、以下の練習を一部取り入れていきましょう。
○初心者の方・・・走り始めの方。
【屋内】「楽」か「ちょうどよい」と感じるペースで、10分15分,30分と時間を伸ばしていましょう。週に2回の目標で。
【屋外】屋内で30分走れるようになれば、そのうち1回は屋外で。目標は45分そして60分。
○中級者・・・現在ゆっくりでも60分以上走れる方。まずはハーフマラソンを目指す方。
【屋内】30分の中で3段階でペースアップをしていくビルドアップ走を行いましょう!「楽」、「ちょうどよい」、「ややきつい」と感じる速度を10分間ずつ。週の半ばに1回行い、心肺機能に刺激をあたえまししょう。
【屋外】「楽」から「ちょうどよい」ペースを90分または15km維持しましょう。週に1回を行えればですが、少なくとも目指すハーフレースの前の1ヵ月には、2回は行っておきましょう。
○ 上級者・・・フルマラソン完走、自己記録更新を目指す方。
【屋内】
?30〜45分、3段階でペースアップをしていくビルドアップ走を行いましょう!ペースは、「余裕のあるペース」、「フルマラソンの目標ペース」、「ハーフマラソンのペース」と変化し、最後は息が弾むペースになります。週の半ばに1回行い、心肺機能に刺激をあたえまししょう。
?フル4時間切りの目標の方は、10分間楽な速度走ってから速度をあげ、目標のフルマラソン速度より少し速いペースで20分間走るペース走を行いましょう。速度は時速12km前後を目安に。3時間半切り目標の方は時速13kmで、3時間15分切りでは14km、3時間きりでは15kmを目安にしてください。?と同様の効果と併せて早い速度に脚を順応させ目標マラソンペースをリラックスして走れることを目指します。
【屋外】「楽」から「ちょうどよい」ペースを20〜30kmまたは2〜3時間維持する練習を定期的に行いましょう。目指すフルレースの前の3ヵ月には、月に2回は行っておきましょう。
最後に、トレッドミルは蹴らなくてもいいからトレーニング効果は少ないという記事が雑誌や書籍に書いてあることがありますが・・・
片足がベルトについてから離れるまでに約0.15秒。その間にベルトが後ろに流れますので、速度によって変わりますが50cm以上後方に足は動きます。そして地面を蹴って、足を上でなく前へ持ってこないと、どんどん後ろに下がり、最後にはベルトから落ちますので、当然前へ蹴る筋や腱もトレッドミルでも強化されます。
極端にベルトに着いている時間を短くした“ちょこちょこ走り”では、脚が半分程度にしか後ろに流れないので、同じ速度でも前方に脚を動かす距離が短くます。しかしその分空中に浮く時間を長くする必要があるので、効率のいいランニング動作でないですが上への筋力が必要になっていますので、筋力効果はなくはないのです。
よって結論、トレッドミルでも走る筋力は強化されるということで、安心してトレーニングしてください。